地域の児童養護施設で育った若者たちは、18歳になると施設を退所し、新しい生活へと踏み出していきます。進学する子もいれば、就職する子もいます。県内に残る子もいれば、県外へ出ていく子もいます。
それぞれ進む道は違いますが、共通しているのは退所のタイミングで、一人暮らしと学校や仕事、そして毎日の生活を、一気に自分ひとりですべてを背負うことになります。
頑張ろうと思っていても、うまくいかないことがあったり、思いがけずつまずいてしまうことも少なくありません。実家を頼ることが難しい若者たちにとって、新しい一人での生活は、決して簡単なものではありません。
こうした中で、退所後の若者たちに寄り添い、関わり続けてくださっているのが、各児童養護施設の先生方や自立支援員のみなさまです。
困ったときには話を聞き、退所したあともずっと気にかけながら関わり続けてくださっていることを、児童養護施設のみなさんと連携する中で知るようになりました。すごいな、ありがたいな。と思うとともに、えんまるとしても、何かできることはないだろうか。と考えてきました。
施設を退所して新しい生活を始めるにあたっては、家電や家具、生活に必要なものを最初にそろえることが簡単ではなく、新生活のスタート自体そのものを難しくしてしまうこともあります。だからこそ、まずはその一歩を踏み出すための準備を支えられたらと思い、児童養護施設を退所するタイミングに合わせて、家電や家具、生活に必要なものを一緒に選び、新しい暮らしの準備を支える取り組みを始めました。少しでも不安を減らしながら、新しい生活を始めてほしいな。そんな思いで、今年もこの支援をおこないました。


現在この支援は、三帰寮、松代福祉寮、恵愛、飯山学園の4つの児童養護施設を退所した若者たちへの支援を進めています。
冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、掃除機、洗濯機、布団、収納家具など、新生活に必要なものは、一人ひとり異なります。私たちが大切にしているのは、これを渡せば大丈夫。という一律の支援ではありません。
その子の進路や暮らし方、住む場所や環境に合わせて、本当に必要なものを一緒に考えることを大事にしています。自立支援員さんや施設の先生、そしてご本人と相談しながら必要なものを選んでいます。



また、自分で選ぶという事も、とても大切にしています。
以前、ある女の子が、生活用品を選ぶ中で、こんなことを聞いてきました。
「こたつがほしいんです。選んでもいいですか?」 女の子に理由を聞くと、その子はこう話してくれました。
「これまで施設では、たくさんの仲間や先生と一緒に暮らしてきました。でも、これからは、一人です。こたつに入って、こたつ布団にくるまって、寂しい気持ちに耐えたいんです。」
その言葉を聞いたとき、胸がいっぱいになりました。
新しい生活に向けて前を向こうとしていること。
その一方で、不安や寂しさを抱えていること。
その女の子の言葉から、そんな気持ちがまっすぐ伝わってきました。

これら一つひとつが、そんな若者たちの新しい暮らしを支える品々です。
こうした支援につながっているのも、えんまるシェの取り組みに関わってくださる企業さんや店舗さん、そして日頃から商品を購入してくださる皆さまの支えがあるからです。
(えんまるシェの取り組みに加え、助成金も活用しています。)
えんまるシェでの一つひとつのご購入が支えになっていること、そして「がんばってね」という皆さまの思いも、若者たちの新しい暮らしを支える力になっています。
えんまるは、新生活の品物を一緒に選ぶ中で、その思いも大切に伝えています。
あわせて、退所後の物資をお渡しして終わりではなく、その後も気にかけ合える関係の中で支えていくことが必要だと感じています。えんまるがこの取り組みの中で目指しているのは、単に家電や家具をお渡しすることだけではありません。
「ひとりではないこと」「見守っている人がいること」「困ったときには、頼ってもよいこと」
そうしたことが伝わる支援でありたいと思っています。
これからも、児童養護施設のみなさま、そしてえんまるシェに関わっていただいているみなさまと一緒に、施設を巣立つ若者たちが安心して暮らしを始められるよう、ひとつひとつ支えていきたいと思います。












