NPO法人えんまるでは、2020年8月より長野市の困窮・孤立するひとり親支援の取り組みとして、食材等のお届けでひとり親家庭の食を守りながら、孤立を防ぎ、関係性を築く「こども宅食えんまる便」の活動をおこなっています。

毎年、ひとり親家庭の生活状況を確認するために、こども宅食えんまる便の利用家庭にアンケート調査をおこなっており、今年度は先月に実施いたしました。

「こども宅食えんまる便アンケート概要」(2023年度)

実施期間:2024年2月

対象者:長野市内、こども宅食えんまる便を利用しているひとり親家庭

実施方法:Webアンケート

回答数:支援世帯58世帯中45世帯

以下、アンケートの結果になります。

①生活に困った時や子育てに悩んだ時などに利用した地域の支援サービスの利用状況についてお聞きしました。

「利用してみたいと思っているが利用した事がない」と「地域にあるのか知らない、内容がよくわからない」と「利用する予定はない」の合計として、1:自治体での窓口の相談 53% 2:自治体の電話、SNS等での相談 80% 3:ファミリーサポート 75% 4:短期間の子どもの預かりサービス 48% 5:地域のこども食堂 73% 6:地域のフードバンク 46% の回答になりました。

過去に利用したことがあるが、今は利用していない方に、具体的な理由をお聞きした個別の記述はこちらから確認いただけます。

②親御さんご自身の支援に対する考えなどについてお聞きしました。

「とてもあてはまる」と「あてはまる」の合計として、1:家族以外の他人にこども宅食を利用していることを知られたくない 29% 2:人の相談してもどうせ解決しない、わかってもらえないと思う 35% 3:悩みを相談することは恥ずかしいことだと思う 13% 4:過去に支援期間に相談し、嫌な思いをしたことがある 35% 5:書類の手続き、やりとりが面倒で、行政のサービスの利用をあきらめたことがある 40% 6:知らない人や初めての人との会話があまり好きではない、得意ではない 54%との回答になっています。

③物価高騰が生活に与えた影響についてお聞きしました。

「とてもあてはまる」と「あてはまる」の合計として1:物価高を受けて食料品を買うことをあきらめたり、購入量が減った 97% 2:物価高を受けて光熱費、ガソリン等を以前より節約するようになった 100% 3:昨年秋に物価高等を受けて緊急の生活用品等、今春に進学進級の学童用品をお渡して「生活に必要な物資が受け取れて助かった」「生活に必要な物資が受け取れて少し助かった」の合計が97%の回答になっています。

④最後の設問では、「こども宅食えんまる便」を利用する前と比較して、親御さんの気持ちの変化についてお聞きしました。

「とてもあてはまる」と「あてはまる」の合計として、1:生活が楽になった 89% 2:家族関係が良くなった 73% 3:生活が前向きに考えられるようになった 85% 4:孤独感が解消できた 78% 5:地域や社会とのつながりが感じられるようになった 78%との回答をいただきました。

自由記述として親御さんが今現在困っていること、悩んでいることについてご記入いただきました。

急激な物価高騰は、特に保証のない非正規雇用の多いひとり親家庭のお母さんが影響を受けています。収入減、収入自体がなくなるという恐れの中、日々の生活とこどもの命を背負っています。親御さんご本人や家族の病気対応や介護を同時に背負っている方も少なくありません。「こども宅食えんまる便」では、今後も既存の支援制度のはざまにいる、困難を抱えている方に向けて、支援の強化をおこない活動をしていきます。

一方、活動初年度からアンケート調査はおこなっていますが、問2の項目について、周囲に頼ること、相談することなどに対し抵抗が少なくなってきている回答をする方が増えています。(状況や回答数が少ないこと、回答者自体も変わっているので一概には言えませんが)

助けを求めたり、助けを受けたりする「支援を受ける力」が、困難を抱えているご家庭が少しずつ対応できるように。もう一歩の後押しになるように。と考え取り組んできていることが、利用家庭の生活の前向きな変化として現れているでは。と感じています。

最後にこども宅食えんまる便への要望やメッセージについて自由にご記入いただきました。

物資的な支援面に加え、気持ち的な部分についてお答えをしてくださる方が多かったです。日々、ご家庭への対応をしている現場スタッフ、ボランティアの皆さん。毎月、梱包と誕生日のメッセージカードプレゼントの作成をしてくれる長野県立大学のこども学科の学生さん。(活動の最も大事な部分を担っている皆さんです。)それぞれの親御さんとこどもたちに、ていねいで親身になった対応をしていただき本当にありがとうございます。

そして何よりも、様々な方法と場所でこの活動を支えてくださる、団体、企業、お寺さん、そして個人の皆さま。おひとりおひとりのお気持ちと、お力添えが、ご家庭の親御さんとこどもたちに届いている結果としての回答になっていると感じています。ご支援者の皆さま、いつもいつも本当にありがとうございます。

何かに困った時には頼ることができる、頼れる人がいる。そんな地域社会を作れるように、皆さまと一緒に取り組みをおこなっていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。